町田フラメンコスタジオ『Levante』~レバンテ~

□ ● ひとりごと □

祖父の記憶

世の中は、お盆休み真っ只中でしょうか。。。

今日は、レッスンがお休みだったので母と一緒にお墓参りに行ってきました。
今年は例年に比べて、道路が比較的に空いていて車で片道2時間近く
かかるところを30分ほど早く到着することができました。


助手席の母は、いつも決まってもう何度も聞いている思い出話をします。

この日も、母にとっての父である、お墓に眠る私の祖父の話をはじめました。


祖父は、彫の深い顔立ち、そしてスラッとした長身でモノクロ映画に
出てくる英国紳士のような人でした。

ちょとした外出でさえもパナマ帽をかぶり、仕立てたスーツにネクタイと
お揃いのチーフ、ピカピカの白いエナメルの靴で颯爽と出かけていくのだ。

子供の頃、夏休みに帰省すると、早朝に祖父の淹れた珈琲の香りで目を覚ました。
ふすまから射し込む光を感じながらもウトウトしていると
そのうちコーヒーカップを「カチャ」っとガラステーブルに置く音がする。
そして決まって、祖父の吸うパイプの煙が光の帯から入り込んでくるのだ。

今にして思えば、私は祖父から戦争の話を聞いたことがなかった。

たまに祖母が「おじいちゃんは、戦争があったから寒いのとお腹が空くのを
我慢するのがイヤなのよ・・・。」

と何度か耳にしたことくらいだ。

窓辺の籐の長椅子に座って、パイプを持った手をひじ掛けに置いたまま
時々、遠くを見ていた夏の日の祖父の姿を今でも思い出す。


もしかすると祖父は、自分の内なる枯野を眺めていたのかもしれない。


「おじいちゃん、私、もっと話したかったよ・・・。」


お墓の前で手を合わせながら心でつぶやいた。


曇天の空に秋の気配が入り混じる。

ヒグラシの哀調を帯びた調べに、行く夏を思う。


8月15日、今日は終戦記念日。


記憶の風化に立ち向かう方法は、ただ一つ。
語り継ぐことなのだ。



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Date:2016/08/15
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